2019-01-01から1年間の記事一覧

ギッシングの作品を読む

ジョージ・ギッシング(1857-1903)の作品をいくつか読んだ。以下話の内容や印象にのこったところなどを書いていく。 「蜘蛛の巣のある家」('The house of cobwebs') 家への愛情や出会った人との友情について主に書かれている。 この話の主人公は、本を三か月…

キャサリン・マンスフィールドの作品を読む

キャサリン・マンスフィールド(1888-1923)の作品をいくつか読んだ。 以下それぞれ内容などを書いていく。 「一杯の紅茶」('A Cup of Tea') お金持ちと美しさについて書かれている。 主人公はローズマリー・フェル(Rosemary Fell)といって、容姿は美しいと…

ルーマー・ゴッデンの「黒水仙」(Black Narcissus)について

中心となる舞台はインドのヒマラヤのそばの尼寺であり、そこは学校や病院をつくるためシスター(修道女)が必要だった。修道院の長から選ばれ、馬で尼寺へ向かう。シスターはひとりではなく、複数いる。ークローダ(Sister Clodagh)、ブリオニー(Sister Briony)…

スティーヴンソンの「セヴェンヌでのロバとの旅」('Travels with a donkey in the Cévennes')について

スティーヴンソン(1850-1894)がセヴェンヌ(山地、フランスの南の方にある)という場所で12日間、ロバとハイキングをする様子が書かれている。100ページほど。 スティーヴンソンと一緒に旅をするロバの名前はモディスティン(Modestine)といって、頑固で、自分…

サキの「スレド二・ヴァシュター」(Sredni Vashtar)について

主人公はコンラディン(conradin)という10歳の少年で、医者からのこり五年も生きられないと宣言されている。コンラディンにはいとこであり保護者であるミス・デ・ロップ(Mrs. De Ropp)という人物がおり、コンラディンは彼女のことを嫌っている(だが、コンラデ…

フィッツジェラルドの「頭と肩」('Head and Shoulders')を読む

題名になっている「頭と肩」とは出てくるふたりの登場人物の事を指す。ひとりはホレス(Horace)という非凡で、父親が大学教授で、大学で哲学を学んでいる男で、頭をつかって考えるため「頭」を意味し、もう一人はマルシア(Marcia)という女で、舞台でコーラス…

馬についての話

馬に関する話を三つ読んだ。続けてそれらについて書いていく。長い。 デーヴィッド・ハーバード・ローレンス(D.H.Lawrence)、「木馬の勝者」('The rocking-horse winner') 最初はD.H.ローレンス(1885-1930)の「木馬の勝者」を読んだ。 全体として、貧乏の家…

アーサー・キラークーチの「いい旅」('A happy voyage')(「トロイの小屋」('A cottage in troy')より)を読む

アーサー・キラークーチ(1863-1944)の「いい旅」という短編(5ページほど)を読んだ。これは「トロイの小屋」の話のひとつで、読んだペンギンブックスにはほかにもう一つあったが、今回は「いい旅」のみを紹介する。 主人公は舟がとめてある付近の小屋に住んで…

ジャック・ロンドンの「火をおこす」('To Build a Fire')を読む

「火をおこす」はカナダのユーコンという地域の極寒の様子(気温は-75°F (−59 °C))が書かれている。男(The man)は男の子たち(The boys)にキャンプで会うために犬と一緒に向かうが、途中、とても寒く、火をおこそうとしても手が麻痺してしまうなどの出来事が起…

レイモンド・カーヴァーの「コンパートメント」('The Compartment')を読む

「コンパートメント」はレイモンド・カーヴァーの『大聖堂』('Cathedral')に収録されている。一年ほど前に、表題と同じ「大聖堂」という短編を村上春樹の訳を参照しながら読んだ記憶がある。今回はその時に読んでいなかった「コンパートメント」という短編を…

サルトルの「壁」を読む

サルトルの「壁」という話を読んだ。これは政治的な活動をして、入獄させられ、刑が迫っている主人公のパブロやそのほか、おなじく処刑させられることになった人たちの心理などがかかれている。よんでいて思い出したのが、前にも紹介したが丸山健二の「夏の…

ヘミングウェイの「春の奔流」('The Torrents of Spring')を読む

この話ではヨギ・ジョンソン(Yogi Johnson)とスクリップス・オネイル(Scripps O' Neil)が中心に出てくる。どちらも春になったので女との恋愛を求めている。スクリップスはマンセロナ(mancelona、ミシガン州にある)という場所で女にいなくなられてしまう。そ…

山田太一編「寺山修司からの手紙」を読む

この本はともに1954年(昭和29年)に早稲田大学の教育学部国語国文学科に入った寺山修司と山田太一の手紙を収めたものである。時期はおもに昭和30年(1955年)から昭和33年(1958年)。寺山修司の入院中の期間の手紙もある。 手紙が写真付きで載っているところもあ…

山田太一、「異人たちとの夏」を読む・死んだ人がでてくる話

この話の主人公は私で、シナリオライターをやっており、つい先日妻子と別れた。それで、同じマンションに住む女がやってきていい仲になる。あるとき、私は48歳の誕生日を迎え、浅草に行くと、演芸ホールで、死んだ父親に似た人物にであう。そしてついていく…

Hemingway, 'The old man and The sea'を読む

主人公はサンティアゴ(Santiago)という老人で、84日間魚がとれていない。一緒にいる少年もいたのだが、小屋でサンティアゴは少年と別れ、再び海に魚を捕りに行くということが中心にかかれている。老人は一人なので、その航海中に、少年がいればよかったの…

W. Somerset Maugham, 'Liza of Lambeth'(「ランべスのライザ」)を読む

今回も単語を調べつつ読んでいった。 まず話の内容から。 ライザ(Liza)というランべス(Lambethという地名、ロンドンの南)にいる、工場で働いている18歳の少女が主人公である。ライザの母親は年を取っており、ライザの看病を必要としている。ライザは知り合い…

Tennessee Williamsの'The Glass Menagerie'(「ガラスの動物園」)を読む

単語を調べつつ読んでいった。 以下は話の内容について。 'The Glass Menagerie'はWingfield家について書かれている。Wingfield Tomが回想していく。Tomはこの戯曲のナレーターでもある。Windfield家は父親がどこかに行ってしまい、Tomは気になっている、ま…

Shelagh Delaneyの"The White Bus"を読む

Shelagh Delaney(1938-2011)

金原ひとみの「蛇にピアス」(第130回(2003年下半期)芥川賞受賞作)・刺青についての話を読む

金原ひとみの「蛇にピアス」を読んだ。主人公はルイという未成年の人で、同じく未成年の彼であるアマ、ピアスを開けたり、刺青を入れたりする店<desire>の主人、シバが主に登場する。内容はまず、ルイがアマに影響され、ピアスを舌にあけ(スプリットタンにするため)</desire>…

辺見庸著「自動起床装置」(第105回芥川賞受賞作)を読む(変わったアルバイトについての話)

「自動起床装置」(第105回(1991年上半期)芥川賞受賞作)

大江健三郎著「空の怪物アグイ—」を読む(空間的な高さについて書かれた小説を読む)

前に菊池寛の「屋上の狂人」を読んで、屋上についていろいろと書いていった。その記事では屋上では変な人が集まりやすい(たまたまそういう話が集まっただけだが)、一方でイメージはもっと娯楽的だ、ということを書いていった。屋上といえば、高い、それでは…

田中康夫著『なんとなく、クリスタル』を読む

ブランドがよく出てくる 『なんとなく、クリスタル』と芥川の『葱』

銀座に行って写真をとる

成瀬監督の『女が階段を上る時』の影響 8月12日にとった写真

ランボーについて

ランボーの詩はしばしば寺山修司や三島由紀夫が引用しており気になっていた。今回は新潮文庫から出ている『ランボー詩集』(堀口大學訳)で印象にのこったところを紹介する。理解したわけではない。二つ。 一つめは「わが放浪」という詩の一番最後の箇所。 [..…

成瀬巳喜男監督の作品『女が階段を上る時』をみる

内容や感想

寺山修司著『さかさま博物誌 青蛾館』を読む

寺山修司の『さかさま博物誌 青蛾館』を読んだ。250ページ程あり、ほとんどが2,3ページのエッセイで構成されている。あまり、特定のものに絞って書いているというわけではない。寺山修司の考えは面白いと思っている。本当のことを言っているのか、と思う事は…

食に注目して話を読む(宮沢賢治著『注文の多い料理店』)

最近、食べ物や食について注目して話を読む、ということをしている。食べるのがすきだからである。昨日も『ソクラテスの妻』を食について注目していったり、『寺内貫太郎一家』であったり…。 今日もまた書いていく。宮沢賢治の『注文の多い料理店』。話の内…

主に食の描写に注目して、佐藤愛子著『ソクラテスの妻』を読む

題名にあるソクラテスの妻とは調べると、クサンティッペのことのようだ。クサンティッペは知らなかったので調べた。以下引用。 クサンティッペ ソクラテスの妻。夫を理解せず常に夫をののしっていたといい、古来、悪妻とされる。 (コトバンク) 前に、向田邦…

懶惰(新明解国語辞典第5版)

誤った類推

赤瀬川原平著『新解さんの謎』を読む

おととい赤瀬川原平の『東京ミキサー計画』を読んだ。それで、面白かったため、他のも読んでみようと思い、今回は『新解さんの謎』という本を読んだ。 『新解さん』とは何のことか、というと、三省堂から出ている国語辞書、「新明解国語辞典」のことである。…