スティーヴンソンの「セヴェンヌでのロバとの旅」('Travels with a donkey in the Cévennes')について

 スティーヴンソン(1850-1894)がセヴェンヌ(山地、フランスの南の方にある)という場所で12日間、ロバとハイキングをする様子が書かれている。100ページほど。

 

 スティーヴンソンと一緒に旅をするロバの名前はモディスティン(Modestine)といって、頑固で、自分のペースで進み、早く駆けることもあれば全然進まないこともある。

 荷物にはいろいろと工夫が見られた。例えば最初の荷物はテントだと目立ち広げるのが面倒なため、寝袋を選んだ、など。

 セヴェンヌという場所の一部分は1702~5年ごろ、カミザール(Camisards)の乱がおこった場所で、スティーヴンソンがそれを想起してしまい、怖くて、怯えながらキャンプをしている様子も書いてあった。物語の中盤から最後にかけては、カミザールも宗教的なことであるが、ほかにもカトリック、トラピスト会など宗教的なことが多くでてきた。トラピスト会の「雪の聖母」('Our Lady of the Snows')という修道院に立ち寄る様子も出てきた。途中、会った人に、スティーヴンソンが宗教を変えるよう、言われることもあった(断ったが)。

 宿がある場合もあれば、宿がなくて、キャンプをする場合もある。キャンプをして、空を見あげることや自然の描写などがいいとおもった。例をひとつあげる。スティーヴンソンが寝るとき、目を閉じた後のシーンである。(訳はkankeijowbone)

‘The wind among the trees was my lullaby. Sometimes it sounded for minutes together with a steady even rush, not rising nor abating; and again it would swell and burst like a great crashing breaker, and the trees would patter me all over with big drops from the rain of the afternoon.’ (p.147)

「木の間に吹く風は私の子守唄となった。時々それは数分間、強まったり弱まったりすることはなく、安定して、吹き付けて聞こえる音を伴うことさえあった。風はふたたび強くなり、とてつもない砕波のようにはじけ、木は午後の雨からの大きな滴とともに私に向かって一面にパタパタと音を立てていた。」

 

 

 

 この本でスティーヴンソンの辿ったルートはgr70と名付けられて、そこをハイキングしている様子のある動画もあって楽しそうだと思った。

 スタインベックもこの作品に影響を受けており、似たような題名の本の、チャーリーというプードルと旅をする「チャーリーとの旅 -アメリカを求めて」(Travels with Charley: In Search of America)という作品もある。これも読んでみたい。

 

 

 

語句

dragoon 竜騎兵

fodder 家畜の飼料、かいば

choir クワイア、聖歌隊

hedonist 快楽主義者

friar 托鉢修道士

castor ビーバー

bastinado 棍棒による殴打

tea-urn 茶壷

knoll 小山、塚

agglomeration 塊になること

treacherous 背信の、たよりにならない

cross-examine 詰問する

hearken 耳を傾ける

clamor 叫び

 

 

読んだもの

Robert Louis Stevenson, 'Travels with a donkey in the Cévennes'(Travels with a donkey in the Cévennes and other travel writingsに収録されている), Mineola: Dover Publications, 2019