2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

池田満寿夫著「エーゲ海に捧ぐ」(第77回 (1977年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 場所はサンフランシスコ。私はスタジオにいて、他にはアニタという髪が褐色でモデルでローマで出会った女と、グロリアという二か月ほど前アニタが突然連れてきた女がいて、二人の体を見ている。 …

幸田文著「草履」を読む

大分間が空いてしまったが前に幸田文の『台所の音』を読んだときにひっかかった作品として今回紹介する「草履」がある。以下紹介する。 こんな書き出しから話は始まる。 都会に季節感は少ないと言います。 (73頁) そして「都会では、季感と人情がからみあっ…

宮本輝著「螢川」(第78回 (1977年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 舞台は富山県。螢はいたち川で飛ぶようだ。主に出てくるのは、——竜夫、14歳。彼は幼馴染の英子に恋をしている。竜夫以外にも関根という人物が英子に恋をしている。竜夫の父重竜は52歳で竜夫がで…

安岡章太郎の作品を読む——「雨」、「蛾」

「雨」 「蛾」 参考 「雨」 内容 梅雨時でばかに雨が多かった。ほとんど絶え間無しに雨は降っている。雨が降って三日目である。主人公の私は洗濯屋だった人物が一生を棒に振るようなことをしたことを思い出し、それは(洗濯屋がアイロンの蒸気とナマ乾きの布…

石川利光著「春の草」(第25回 (1951年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 内容 主人公は銀座の新興百貨店の会計係の中年、京口である。話は国分寺駅近くにある「亀一」という飲み屋で勤務の後、京口が飲んでいるところから始まる。 京口には大学のころ知り合った妻の睦子がおり、京口の出征中、睦…

小谷剛著「確証」(第21回 (1949年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

第21回は既に紹介した由起しげ子の「本の話」と今回紹介する「確証」が芥川賞受賞作である。以下内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 出てくる人物は主に妻がおり、婦人科医である私と流産のためその病院にやってきた水田さち子、電車に乗っ…

由起しげ子著「本の話」(第21回 (1949年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 話は最初、大学教授であった私の義兄白石淳之介が死んでしまったところから始まる。私の姉も病気だったが、義兄はその姉の看病もしていたので私の考えは義兄が重体に陥るとまでは思わなかったが、義…

三浦哲郎著「忍ぶ川」(第44回 (1960年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

三浦哲郎の『忍ぶ川』は以前「ユタと不思議な仲間たち」を読む前に新潮文庫のもので読んだ。そのときは「忍ぶ川」のほかにも作品が収録されており、ほかの作品も「忍ぶ川」とつながりがあるようで、話が混乱してきて読むのをやめた。今回は「忍ぶ川」のみを…

宮原昭夫著「誰かが触った」(第67回 (1972年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 舞台はあるハンセン病療養所の、少年少女患者のために園内に設けられた小・中学校の分教場。 主に出てくるのは二人の人物で一人は馬場と言ってここの中学校の教師をしていて、元々図工が担当だったが…

山本道子著「ベティさんの庭」(第68回 (1972年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下本の内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 ベティさんとはオーストラリアのマイクに嫁いだ妻のことで、元々は柚子(ゆうこ)という日本の名前をもっていたが、結婚を機に洗礼を受けて柚子という日本の名前は捨ててしまいエリザベスになっ…

吉行理恵著「小さな貴婦人」(第85回 (1981年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

内容 猫に関しての話。主人公である私の淡いチャコールグレーの雲という猫は死んでしまったのだが、その猫に似た大きな猫のぬいぐるみが「竜太」という小さな店に置いてある。「竜太」の主は志野といって、母が猫を飼っていたようでそれも主人公の私と同じチ…

尾辻克彦著「父が消えた」(第84回 (1980年下半期) 芥川賞受賞作)を読む 

尾辻克彦は赤瀬川原平のペンネームである。 以下本の内容や感想などを述べる。 内容 感想 印象に残ったところ 選評 参考 内容 八王子霊園という都営墓地の調査と見物のために主人公である私が『生活』という雑誌の編集部にいる馬場君と同行して三鷹から電車…

北杜夫著「夜と霧の隅で」(第43回 (1960年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 内容 場所はドイツ。ユダヤ人や政治犯が消え失せるという「夜と霧」命令というものがあったようで、それを交えて主に精神病院の様子がかかれる。 精神病院に入ってきたのは高島という日本人の男で、この男の彼女の父親がユ…

重兼芳子著「やまあいの煙」(第81回 (1979年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 主に二人の人物が出てくる。一人はこの話の主人公と言えるだろう、敏夫で、彼の仕事は死体を焼くことであり、父の仕事を引き継いだ。もう一人は正子で、ある県には老人専門病院ができて寝たきり…

高橋揆一郎著「伸予」(第79回 (1978年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

この前紹介した高橋三千綱の「九月の空」もそうであったが、「伸予」もまた第79回の芥川賞受賞作である。本の内容や感想などを述べる。 内容 感想 印象に残ったところ 選評 参考 内容 二人の人物がメインに出てくる。一人は伸予、49歳で、後家、また、息子が…

高橋三千綱著「九月の空」(第79回 (1978年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 主人公は小林勇、高校一年生、剣道部に入っている。小林が大会の会場にいるところから始まる。他にも剣道部員はおり、その試合もある。 剣道部には松山という女が入ってきて、小林は年齢もあり、…

川村晃著「美談の出発」(第47回 (1962年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 話の内容 感想 印象に残ったところ 選評 川村晃について 参考 話の内容 製板の仕事をしている(カキ屋・筆耕職人とも)をしている私のもとに一緒に暮らすことを決めた病気がちの由紀子が連れ子である四人を時間差はあれ連れ…

田辺聖子著「感傷旅行(センチメンタル・ジヤーニイ)」(第50回 (1963年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

田辺聖子の作品は映画でならば「ジョゼと虎と魚たち」というものは観たことがあるのだが、本では初めてである。以下本の内容や感想などを述べる。 内容 感想 選評 参考 内容 舞台は大阪。森有以子という放送ライターで、今までに随分恋愛経験をしていた女が…

河野多恵子著「蟹」(第49回 (1963年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

前回の後藤紀一の「少年の橋」と合わせて今回のものも第49回の芥川賞受賞作である。本の内容や感想などを述べる。 内容 感想 印象に残ったところ 選評 河野多恵子について 参考 内容 悠子が転地療養の為、外房州にきている。夫の梶井は外房州に行くのは例え…

後藤紀一著「少年の橋」(第49回 (1963年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

話の内容 感想 印象に残ったところ 選評 後藤紀一について 参考 話の内容 中学三年生の少年が主人公となって話の内容はかかれる。少年の母や姉と親父は現在別居中で、少年は家を行き来する。親父の家は町にある川の向こう岸にある。少年は自転車で橋を渡り、…

火野葦平著「糞尿譚」(第6回 (1937年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

本の内容や感想などを述べる。 火野葦平について 本の内容 感想 印象に残ったところ 選評 参考 火野葦平について 以下「芥川賞全集 第2巻」の年譜より一部抜粋。 明治40年(1907) 1月25日、福岡県若松市(現・北九州市若松区)新仲町に玉井金五郎、マンの長男と…

中山義秀著「厚物咲」(第7回 (1938年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

話の内容や感想などを述べる。 中山義秀について 話の内容 感想 印象に残ったところ 選評 参考 中山義秀について 「芥川賞 第二巻」より一部抜粋する。 明治33年 (1900) 十月五日、福島県岩瀬郡大屋村(現、西白河郡大信村)大字下小屋宇田中一番地に生まれる…

半田義之著「鶏騒動」(第9回 (1939年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

本の内容や感想などを述べる。 半田義之について 内容 感想 印象に残ったところ マカロニ カニ 選評 参考 半田義之について 「芥川賞全集 第2巻」の年譜より一部抜粋。—— 明治44年 (1911) 七月二日、父義一、母としの長男として、横浜市保土ヶ谷に生れる。 …

中里恒子著「日光室」(第8回 (1938年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

前回読んだ「乗合馬車」の他に今回の「日光室」も第8回芥川賞の受賞作である。「芥川賞全集 第二巻」を中心に見ていきながら話の内容や感想などを述べる。 話の内容 感想 印象に残ったところ 選評 参考 話の内容 色々と呼び方はあると思うが——ハーフの子供…

中里恒子著「乗合馬車」(第8回 (1938年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

以外話の内容や感想など述べる。 中里恒子について 話の内容 感想 時計の音 選評 参考 中里恒子について 中里恒子は1909年生まれで、藤沢に生まれ横浜山手の学校に入学したが、1923年の関東大震災で学校、家が焼失したので川崎に移る。1926年、母方の遠縁に…

寒川光太郎著「密猟者」(第10回 (1939年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

以下話の内容や感想などを述べる。 寒川光太郎について 話の内容 感想 印象に残ったところ 選評 参考 寒川光太郎について 「芥川賞全集 第2巻」を参照しながら文字を打っている。寒川光太郎は北海道に生まれる(1908年)。父は小学校教員で、著書に『樺太植物…

阪田寛夫著「土の器」(第72回 (1974年下半期) 芥川賞受賞作)を読む

第72回芥川賞受賞作は二つあって一つは以前紹介した日野啓三の「あの夕陽」でもう一方が今回の「土の器」である。阪田寛夫の作品は初めて読む。以下話の内容や感想などを述べる。 阪田寛夫について 話の内容 感想 印象に残ったところ 選評 参考 阪田寛夫につ…