芥川龍之介
ブランドがよく出てくる 『なんとなく、クリスタル』と芥川の『葱』
カテゴリーでは今回の作品は久米正雄のものだが芥川のことも書かれていたので「芥川龍之介」のカテゴリーにもこの記事を入れる。 前回読んだ「受験生の手記」はそこまで長い話と言うわけではないが今回の「風と月と」は手元にある二段組みの本で80頁以上ある…
松戸からの帰り、数十キロとそこまで離れていないので引き続き自転車で浅草寺に行くことに。「浅草公園」は約二か月ほど前に読んだのだがとても興味深い作品で引っかかりがあった。この作品の中心は或少年が父親がいないことに気づき、浅草寺周辺を歩き回る…
芥川龍之介が大学三年生だった頃を振り返ったもの。芥川が自身を語ったものを読みたかったので手にしてみた。 芥川の当時の交友関係が知れる。この作品では雑誌「新思潮」の同人の人物が出てくる。——松岡譲、菊池寛、成瀬正一、久米正一 久米正雄など。同人…
先ずMensura Zoiliとは何かという疑問があるわけだがMensuraはラテン語で計り、Zoiliは酷評家をZoileということからからとっているのだという。で、この物語は船でZoiliaという国に向かう際中の会話が中心。最近そこの国では価値測定器という物を載せると価…
「手巾」 長谷川先生(新渡戸稲造をモデルにしたと思われる)の元へ最近亡くなってしまった息子の母親の西山篤子が、息子をお見舞いをしてくれたことのお礼を言いに来た。この母親は死んだ息子の話を日常茶飯事のようにするので、泣かないなと長谷川先生は不思…
「早春」 春。大学生中村が上野公園の国立博物館で三重子という女と去年の夏ぶりに会おうとしたが、三重子はこなかったという話。国立博物館は芥川の時代にもあるのかと驚いた。脚注には[もと帝室博物館。明治二十二年創立。]とある。そんなに昔からあったの…
「文放古」 ぱっと題名を見て惹きつけられた。文放古ってなんだ——調べてみたがでてこなかったので芥川のほかの作品「お時儀」といいこれもまた当て字なのだろう。反故の当て字なのだろうか。 話は日比谷公園のベンチの下に西洋紙の文放古が落ちていたという…
「文章」 主人公は保吉。保吉はある学校で英語教師をしており亡くなった本多少佐という人の葬式のために弔辞を作ってくれないかと頼まれる。それで引き受け作った弔辞は来客に感動を与え、泣く人までいたという話。 その帰り、篠垣に小便をしていると思った…
「或恋愛小説——或は「恋愛は至上なり」——」 主人公はまた保吉。場所はある婦人雑誌社の面会室。主筆と話す。保吉はこの頃婦人雑誌に書きたいと思っていると小説があるといい、それはどのようなものかというと以下のようなもの。<ある女主人公妙子がいて外交…
「不思議な島」 主人公僕が夢の中で見た話でその夢の中身はサッサンラップという島で僕がイギリス人の老人にどういう野菜が好いのか、その善悪を教えてもらっているというもの。サッサンラップ島は野菜を作ることで生活をしている人が多く、僕が島へ来た時に…
「お時儀」 保吉が避暑地のホームでお嬢さんに会いお時儀をしたくてたまらなくなったという話。保吉は反射的にお辞儀をしなくてはならないという焦燥に駆られてしまう。このかんじ、なんとなくわかるような気がする。お時儀をしたのが嫌だからと言って砂浜に…
「白」 犬殺しに殺されそうな黒を助けず逃げ出した白い犬ー白は黒くなってしまって飼い主にも「うちの犬ではない、うちの犬は白いのだ」ということを言われてしまうが他の犬を助けたり、人を助けたりすると色は白くなって飼い主に迎えられたという話。 白が…
「保吉の手帳から」 これは筋があるという訳ではなく、断片的な話の組み合わせで成り立っている。特に印象に残った話は「勇ましい守衛」というものだ。——保吉が学校へ通うと大浦という敬礼をよくする守衛が盗人のために海へ投げ込まれた、なぜかと保吉が聞く…
「二人小町」 あらすじ 最初小野小町の元へ黄泉の使いが現れ、地獄に連れていくといっていたが小野小町は少々の胤を宿しているから嫌だという。黄泉の使いはそれならば代わりがいるといい、小野小町は誰も逢う人がいない玉造の小町を連れていけばいいのでは…
「魚河岸」 春の夜、保吉と俳人の露柴、洋画家の風中、蒔絵の如丹と魚河岸(日本橋川に臨んだ中央区元船町にあった魚を荷揚げする海岸)を歩いていると狭い店があり入った。後から入ってきた、中折れ帽を被った客——保吉はこういう客は泉鏡花の小説だと芸者か何…
「一夕話」 あらすじ 場所は日比谷の陶陶亭の二階、時はある雨の夜、テエブルを囲み同じ学校の寄宿舎にいた七人が話をしている。その話というのは柔道の選手で寒中一重物で通した——一言でいえば豪傑な医者である和田が柳橋の小えんという芸者と浅草六区で遊…
「仙人」 大阪に来た飯炊き奉公の権助が口入屋の番頭に仙人になりたいのだがどこへ住み込めばいいのかといったが番頭はどこへ奉公させるべきかわからず、医者に頼んだが医者もわからず…医者の女房が無給で二十年間奉公すれば二十年目には仙人になる術を教え…
「夢」 どういう話かざっというと画家であるわたしが制作の為、mという家へ出かけ女をモデルとして雇うがそのうちにそのモデルを絞め殺してしまったという夢を見、現実にもいなくなってしまった、また、わたしが葱畠で無意識に火をつけていたことなどを思い…
「歯車」 結婚式に向かうという点では「たね子の憂鬱」と同じような設定、また、姉の夫の肖像画を見た時、姉の夫の口髭——顔の一パーツ——がぼんやりしているようで気になるというところも「たね子の憂鬱」と似ている。歯車を見たりレインコートを着た幽霊が出…
「たね子の憂鬱」 たね子の夫の先輩にあたる実業家の令嬢の結婚式の会場が帝国ホテルだと知ったたね子は洋食の食べ方の作法というものを知らず夫に稽古のため銀座の裏にあるレストランに連れて行ってもらったということが中心にかかれた作品で、その後は帝国…
「河童」 第二十三号が三年前の夏、上高地の穂高山を登ったところ河童に出会い共に生活し、その河童との生活を精神病院の院長やs博士に喋るという話。第二十三号は次第に河童の言葉を覚えこっちの世界に帰ってからもあの河童の世界に行きたいというのではな…
「彼 第二」 「彼」に出てくる彼は第三中学校から付き合いがあり文学や社会科学の話が好きだったが病気になった途端興味がなくなった……という人物だったが、「彼 第二」に出てくる今度の彼は愛蘭土人である英字新聞の記者をやっている。ロンドンへ行ったり日…
「点鬼簿」 ※ 点鬼簿とは死者の俗名、法名、死亡年月日などを書き溜めておくもの。過去帖。 一章では僕の母(実母。名はふく)が狂人だった、そして僕が十一のときに死んだことが描いてあり、二章では僕の生まれる前にすでに亡くなっていた初子という姉がいて…
「春の夜」 あらすじ 近頃nさんという看護婦に僕が聞いた話。僕は当時大腸カタルを起こして横になっておりnさんは粥を煮ながら僕にその話をしてくれた。nさんはある年の春、牛込の野田という家に行っておりそこには女隠居が一人、それからその娘と息子がい…
「海のほとり」 芥川(ぼく)がm(久米正雄とされる)と上総の宮町海岸に行った時の話で、宿で哲学科にいたkという男の夢をみたり、海に行くとkが海月にやられたり派手な水着姿の女がいたり、ながらみ取りの幽霊は本当にいるのか等と話し合っている。海際の美…
「葱」 あらすじ おれは締め切り日を明日に控えた今夜、一気呵成にこの小説を書こうと思う。神田神保町辺にはお君さんという女給仕がいる。美人である。芸術的趣味を持つ。もう一人年上の女給仕がいる。お松さんといって、お君さんほどの器量ではない。お君…
芥川龍之介の作品は、ほとんど読んだことがない。キリスト教のものが多かったり、何かの物語の上に成るものが多いというイメージがあったので、敬遠していたところがあった。しかし、読んでみることに。今回読んだのは、ちくま文庫から出ている芥川龍之介全…
最近は星新一のあらすじを書くことはせず、ずっと読みふけってばかりいたが、もうすぐ10月も終わりで、今月は何も書いてないので何か書かねばと思った。 芥川竜之介「侏儒の言葉」は、前に「悪魔の辞典」や「エピクロスの園」などを読んで、それらに似ている…