幸田文

幸田文著「草履」を読む

大分間が空いてしまったが前に幸田文の『台所の音』を読んだときにひっかかった作品として今回紹介する「草履」がある。以下紹介する。 こんな書き出しから話は始まる。 都会に季節感は少ないと言います。 (73頁) そして「都会では、季感と人情がからみあっ…

幸田文著「崩れ」を読む

「山の音」を読んだので山についてのものをもっと読みたいと思い手にした。最初、小説かと思って読み始めたのだがそうではなかった。七二歳の幸田文が大谷崩れを見て以来、他の崩れも見に行くというのが話の中心。日光男体山、松之山、大崩海岸、鳶山、桜島…

幸田文著「濃紺」を読む

幸田文の本は「おとうと」をこの前読んだばかり。「濃紺」は講談社文庫の『台所のおと』に収録。短編は全部で10個あったが、むずかしいものが多かった。ひとつだけ紹介。 「濃紺」 あらすじ きよが息子の家に行く。そこでは、孫たちが喧嘩し始めた。というの…

幸田文著「おとうと」を読む

内容 不和な両親のもと、弟の碧郎と姉の関わりを中心に描いたもの。序盤では、様々な疑惑をかけられてしまう(例えば碧郎が学校の子を骨折させたという疑惑や、姉がものをとったという疑惑)。碧郎は、骨折をさせたというという疑惑をかけられたことで、不良仲…