芥川龍之介の作品を読み漁る——「Mensura Zoili」

先ずMensura Zoiliとは何かという疑問があるわけだがMensuraはラテン語で計り、Zoiliは酷評家をZoileということからからとっているのだという。で、この物語は船でZoiliaという国に向かう際中の会話が中心。最近そこの国では価値測定器という物を載せると価値をはかってくれる物ができたよう——試しに芥川の「煙草」を載せると<常識以外に何もない>とでて、久米正雄の「銀貨」を載せると<この創作の動機が、人生のくだらぬ発見。おまけに早く大人がって通がりそうなトーンが、作全体を低級な卑しいものにしている>とでた。主人公僕は久米正雄への測定の結果を聞いて嫌になった。モーパッサンの「女の一生」は最高価値を示すのだという。……船は揺れ気が付くと僕は書斎のロッキングチェアに腰かけてSt. John Ervineの"The Critics"という本を読んでいたという落ちがある。

星新一の「価値測定器」——懐中時計のような測定器をもっていることで女や事業の価値を正確にわかりうまくいった生活をしていた人が、測定器をもっている状態で自分に測定器をあてると高い価値を示すのだが測定器を手放した後、他の人がその測定器を持っていた人にあてると価値はなかった—つまらない人間にすぎなかった…つまり価値があるのは測定器自体で測定器をもつ人には価値があるわけではないという作品を思い出した。

 

芥川龍之介、「芥川龍之介全集1」、ちくま文庫、1992年