エリック・ホッファーの本を読んだ

・エリック・ホッファーについて  

 エリック・ホッファー(1898-1983)は学校に通うことなく自分で勉強し、様々な仕事を転々とした。1951年に初めて本を出した。The True Believerという本だ。それ以降10冊ほどの本を出した。

 

 

・感想など

 読んだのはホッファーの最後の著作のTruth Imaginedというものだ。1983年に出版された。エリック・ホッファーの本は違うものならけっこう前だが日本語訳で読んだことがあった。今回読んだのはエリック・ホッファーが様々な仕事を体験していたときの回想記だ。舞台はカリフォルニア州である。

 果物摘み、皿洗い、トラックの運転手の手伝いなどの仕事をしていた。仕事をしている中で空き時間には本を読んで勉強していた。ホッファーの読んだ本の名前が出てきた。本を共に働いている人から勧められることもあった。現地で労働者たちと歌を歌ったりダンスをしているのが楽しそうだと思った。働かなければお金が尽き苦しそうな時もあった。けれども移動しながら労働することを肯定的に捉えていた。そういう働き方もあるのかと思った。

 カリフォルニア出身のスタインベックの小説でカリフォルニアが出てくるので興味があった。ホッファーは1920年にロサンゼルスに着き、それからカリフォルニア州の間を仕事のために頻繁に転々とするのでカリフォルニアのいろんな地名が分かったのがよかった。

 独学で学ぼうとするのは自由はきくがその分どういう風にやるのか決めなければならないので大変だと思う。またもし一緒に学んで互いに学び合うことができればその楽しみは独学にはない。独学でも意見交換の場がある場合もあるかもしれないけど。けれども独学でうまくやっている人には自分は憧れる。独学というより自分の軸をもとうとしていて、そこを中心に学ぼうとする姿勢がいいと感じるという方が近いかもしれない。

独学と書いてしまったが何が独学なのかというのはあまりわからない。曖昧だと思う。

自身のオリジナリティを強調したいがために独学と言うのは嫌だ。場合によっては傲慢だ。

 

 

・印象に残ったところ 

  63-64ページ。

  エリック・ホッファーは自分で本を読み勉強していた。植物学の勉強もしていた。本を読んでも難しいことがあった。植物学の用語が書いてあったほっそりした辞書は相性がよかったらしくそれを大事にしていた。それでリュックにも入れていた。面白いと思ったのは次のところだ。貨物列車の中でのことだ。ホッファーが植物学とは関係のない分野の仕事をしている時に解決することが難しい問題に直面した。その時植物学の薄い辞書をリュックから見てもし傍に答えを知っているものがあれば熟考するのをやめてしまうのではないかと感じ、それが嫌で、貨物列車で大事にしていた植物の薄い辞書を投げたところだ。

これは当時ホッファーがしていた分野と密接に関わっていることなら捨てるのかはわからないと思った。今の仕事と関係のある辞典を捨てたならそれは致命的だと思う。自分は頼れるものなら頼りたいと思ってしまい、まだそういう経験がない。本当に頼りたいというものもある。でもいつかホッファーのようなことを思う事もあるのか。大事にしていたものを頼らなくなるということは頼らなくなるほど吸収する必要がある場合もあると思う。

 

 

・出てきた単語

こういう単語が本書には登場した。

hobo, drifter, tramp, bum 浮浪者

servility へつらい

prune 剪定する graft 接ぎ木する prospect 試掘する、予想

map 顔、地図

pods of green peas エンドウのさや

cut down to size 実力相応の評価に下げる

downy ふかふかした

leaf さっとページをめくる、葉 browse 拾い読みする

 

 

・ 読んだもの

Truth Imagined

Truth Imagined

  • 作者:Hoffer, Eric
  • 発売日: 2005/12/12
  • メディア: ペーパーバック