真鍋 博(まなべ ひろし、1932年7月3日 - 2000年10月31日)は、愛媛県新居浜市出身のイラストレーター、アニメーター、エッセイスト。日本SF作家クラブ会員。 (Wikipediaより)
読んだもの… 真鍋博、「思考の憶え描き」、早川書房、1976年
<はじめに>
真鍋博は、星新一や筒井康隆の本の表紙や挿絵を書いてきた人物である。今回は、昨日読んだ少年マガジンについての本に出てきたため、この本を手にした、また、前々から星新一の、とくに表紙は気になっていた、無機質だが見たら星新一の本だとわかるような…どんな方が書いているんだろうと思っていた。
星新一の本、「これからの出来事」の解説にも真鍋博は登場した。『これからの出来事』で真鍋博は星新一の作品のさしえを描いたのは昭和33年、「おーい でてこーい」が初めてである、ということを言っている、星新一は締め切りを守るようで、予定より二、三日も早く原稿が来るので他の作家に比べ、さしえを描く時間が十分にある、ということなども書いてある。
(星新一著『これからの出来事』、<解説>を参照した)。
内容と印象深かったもの
この本は絵がメイン。いろいろな計画が書いてある。が、あまり理解できるわけではなかった。しかし絵がこれでもか、というくらい描いてあって、その絵一つ一つに圧倒された。いろいろな計画と言っても、それは、「何でそんな発想に…」というような計画だった、例えば罐詰計画、玉ねぎからヒントを得た多層罐詰計画は…と言う文だったり光を罐詰にすることは…と言う文があったりする、多分何を言っているのか伝わっていないと思う。
特によかったとおもったのは以下のようなもの。例えば「窓計画」。
窓計画
壁に穴をあければ、それが窓になる。また空間を壁で覆えばその隙間が窓になる。遮断された二つの空間をわずかに結ぶもの、それが窓である。 (24-25p)
また、羽目絵計画。
羽目絵計画
ある部分だけが空白な風景、あるいはある部分しか見えない不確かな風景。そのどちらも思考の遊戯として魅力的である。つながっているはずの風景さえひょっとしたらまったく別々のものが偶然にもつながって、そう見えているのかもしれない——。 (200-201p)
いずれも発想がおもしろいとおもった。
計画と言って、あらかじめ今から予想できることだけでは面白みに欠けることもある。そういう意味では、この本の計画はそうではなくて、奇想天外な計画もある、しかしそれを綿密な絵にしている、すごいと思う。
今回は本にあった絵を載せていないので文だけで紹介した、わかりにくかったかもしれない。かなり抽象的になってしまっただろうか。
参考
今回読んだもの…
・真鍋博、「思考の憶え描き」、早川書房、1976年
参照したもの…
・星新一、「これからの出来事」、新潮文庫、1993年
(下のAmazonの本の装幀は真鍋博が担当した。)