おすすめについて思うこと

    記事などでも「おすすめしたい…」というものを見かける。また、スーパーなどで<当店おすすめ>と書いてある商品を見かけることがある。すすめられた側に立てば、(じゃあ、いいのかな)と思うこともあれば、反対に(すすめられはしたけど、いやだな)と思うこともある。

 

 今回はすすめる側に立った時に、なぜおすすめしたくないと思うか(すすめる側ではあるが相手のことも考えることもあるが)、また、その言葉に代わるものはなにか、逆におすすめすべき理由として考えられることはなにか、ということを書いていきたい。

 

おすすめしたくないのはなぜか

1. 自分がいいと思ってすすめるものが相手にとっていいかはわからない

 これが一番(すすめたくないな)と思う理由かもしれない。人によって好みは違うので、おすすめしたいとは言い切れない、ということもある。

 

2. どこか強制力をもつため

 おすすめされた側に立てば、「これはおすすめです」と言われると、どこか圧迫された感じがするときもある。自分がそのおすすめされたものが本当に嫌いであった場合、すすめ方によっては(これをつかわなければならないのかよ…)というふうにまで思うかもしれない。もちろん、そうではないときもある、本当に(この人のおすすめを聞きたい)と思う時もある。

 

3. おすすめしたことに責任が付きまとう感じがする、それがいやだ

 本当におすすめしたのならいいが、軽い気持ちでおすすめしたのであれば、その瞬間、(これはおすすめしたのだ)という責任感のようなものをもつかもしれない。それで、例えば商品をおすすめしたのであれば自分が前までは使ってもいなかったものだったが、おすすめした瞬間、(使わなきゃ)と思うかもしれない、それは嫌だ。また、おすすめしたことに対して、質問なり感想なりが来るかも知れない、それに対応する責任がいやかも知れない。

 

4. 単純に人にすすめたくないことである(普及させたくない)

 「これはおすすめです」ということはどこか他人に共有したい、ということのような気がする。本当に自分ひとりでいいと思っているのであれば、すすめる必要もない気がする。

 すすめると、それだけ、その利用者が増えるということで、それはそれでいやかもしれない、自分がいいと思ったものが普及しているということは。

 

5. 他人の感想を聞きたくない

 おすすめするということは、3でも言ったが、感想が相手からくるかもしれない。けれども、その感想をききたくないということもあるかも知れない、(自分がいいと思えばそれでいいのだ)、そう思う時もある。

 

6. 自信がない

 例えばある商品をすすめる場合、使いやすくはある、でも、そんなでもない…と思う事がある。人に紹介したいと思う時はすすめる自信がないと、紹介できない、と思うこともある。また、すすめた相手がいいと思うか、という自信がない、ということもある。1で紹介したものとも似ている。

 

 

「おすすめしたい」という語に代わるもの

1. 「自分が好きなもの」…これは「おすすめしたい」という語が他人と共有したい、という意味あいをもつのなら、それに反対するものとして「自分が…」というものがあると思う——「自分はそう思ったんですけど、それが他の人にあてはまるかどうかはわかりませんよ…」。「(自分が)使ってよかったもの」、「(自分が)おいしいと思ったもの」などというのも同じようなものだと思う。

2. 「しなければだめ」…状況によってはそういわざるをえないときもあるかも知れない、緊急な場合はそういわざるをえないときもある、「おすすめしたい」というよりもさらに強制力をもつ。また、「おすすめしたい」という言葉に「絶対」、「とても」という言葉をつけるのも同じようなもの。

 「おすすめです」というのは、「自分がすきなもの」と「しなければだめ」の中間に位置すると思う。

 

なぜすすめるべきか、ということで考えられる理由

1. 他人の感想も聞けるから

 おすすめしたくない理由の五つ目で<他人の感想を聞きたくない>といったが、反対にすすめたことによって、意見を言ってくれる、その意見を聞きたくなる時もある。

 

2. おすすめされた側にとっては自信を感じるから、そしてそちらのほうが見てくれるから

「おすすめの…」といわれると、先ほどの<「おすすめしたい」という語にかわるもので紹介した「自分が好きなもの」>よりは(自信があるんだな)と思う——(すすめるくらいだから相当いいんだろうな…)。先ほど紹介した6とは、反対である。

 また、その意味で「おすすめです」と言ったほうが、関心をもってくれる人は多いように思う。

 

 

 以上、<おすすめしたくないのはなぜか>ということから始まって、<「おすすめです」というのに代わるものは何か>、反対に<なぜすすめるべきか>ということを見てきた。

 題にあるようになるべくならおすすめはしたくない。

 もう少し「おすすめの…」ということについては考えていこうと思った。