<好きな景色> 爆笑問題の本から 

 たまたま前に読んだ爆笑問題の本を読みかえした。爆笑問題の本と言っても、文は太田光さんで、相方の田中裕二さんは本中の紙ネンドの担当を担っているのみで、あまり出番はない(しかし紙ネンドがうまい)、「天下御免の向こう見ず」という本である。だいたいは相変わらず覚えていた。五年ほど前、本を買い集めるくらい好きだったことがある(今も好きだが、本は買っていない。どんなところが好きかというと、勢いのあるところである。言っていることが正しいとかではなく、二人の勢いが好きだ)。

 「天下御免の向こう見ず」という本のなかで、特に印象にのこったところを紹介したい。

 <好きな景色>という3ページくらいの、エッセイがある。思い入れの強い景色について書いている。太田光さんは高校生のころ、友達がおらず、10分休みの間などは机に突っ伏して寝たふりをしており、それをしながらいつも同じ空想をしていたのだという。以下、その空想の箇所を引用する。

その空想というのは、机の上に突っ伏している自分の体は、実は抜け殻みたいな物で、本当の自分は、今、見渡す限りに敷き詰められた、やわらかい雲の上にいるという空想だ。真っ白な雲は、肌触りがよく、ゴロゴロと転がったりすると、気持ちが良い。空は眩しいが、とても深い青で、見ていると、吸い込まれそうになる。 (爆笑問題、「天下御免の向こう見ず」、二見書房、1997年、23頁)

 本当の太田さんは実は抜け殻で、雲の上にいるという空想をしていたようだ。このような空想は、自分はしたことはないので、わからないが、空想の中で発見した景色が好きである、というところはなんというか…好きな景色というのが空想の中のものでもいいのだ、ということが書いてあるのだと読み取った。

   だから景色とは呼べないものでも、それは景色とも言えるというか、…なにか景色とは普通よばないものも景色として見ていこうと思った。

 

 あまり関係ないけど、<好きな景色>というエッセイの途中には、挿絵があって、その挿絵は前読んだ時は、白黒でぐちゃぐちゃな人間が書いてある、というふうに思っていた。しかし今見たら、それがはっきりと、子供が飛行機に乗っているのだとわかった。

 

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今日撮った写真。皇居周辺。雲が際立っていると思った。

参考

今回読んだ本…爆笑問題、「天下御免の向こう見ず」、二見書房、1997年