藤野可織著「爪と目」(第149回 (2013年上半期) 芥川賞受賞作)を読む

内容

 人の呼び方が変わっているので読みにくいと思うが内容を紹介する。

 

 この作品の主な人物はあなたで派遣社員である。そのあなたが眼科で、3歳であるわたしの父と出会い、わたしの家にくる。

 わたしの母はいた。表向きは事故死だったがほんとうのところはわからない。

 

 わたしは不幸なことや嫌なことがあると爪を噛む癖がある。あなたは目が悪く、目に関する独特な描写が作中にでてくる。

 後半はあなたの愛人とのようすが中心である。

 

 あなたの冷酷と言えばいいのだろうか、ものごとに感じ得ないことや不気味な行動が書かれている。

 

感想

 三歳のわたしがそこまで知りうるのか、またはそこまで言語化できるのか……と思われることが書いてあって面白い。

 

 最初の方は人称の書き方が変わった作品というのをあまり読んだことがなくて戸惑っていたが読むにつれ、ひかれていった。不気味なかんじのする話だった。

 

 体のどこか一部分が気になるという感覚はほとんどの人があるだろうとおもうけれど、著者にとってそれは目と爪だったのだろうか。

 

参考

今回読んだもの 藤野可織、「爪と目」、新潮文庫、2016年