伊藤左千夫著「野菊の墓」・「浜菊」を読む

「野菊の墓」

伊藤左千夫の最初の小説。

 

あらすじ 

主人公僕(政夫)とその縁の従妹民子(いずれも十代)は仲が良かったが、それを見ていたあによめや母など、親類はあまりそれを良しとせずにいた。しかし僕と民子は愛し合っていた。

僕は民子としばらくの期間離れ、学校へ行っている間、民子は嫁に行ったが不本意であった。民子は身持ちしたがおりてしまい、跡の肥立が悪く死んでしまった。

 

感想

恋愛話で会いたいが会えないというのはよくあるかんじ。

舞台は松戸で矢切の渡が出てくる。

茄子畑が登場したり、二人が竜胆りんどうや春蘭を持ち帰ったりと自然が描かれているのが良かった。政夫が民子のことを野菊の様だ、好きだ、といって、民子は政夫のことを竜胆のようだ、好きだといったところが印象的だった。

松戸に行ってみたいと思った。

 

 

「浜菊」

主人公予が長岡へ友人岡村の家へ汽車で行ったが泊まる部屋は掃除が行き届いていないし、昔岡村の妹お繁さんに予は恋していたのだがいってみてもいないし、ということで予は不快に感じたという話。

 

予が岡村宅へ行くと、長岡のちまきが出るといっていたことに予は喜ぶのだがそれをみた岡村はそんなもので喜ぶなんて時代遅れじゃないか、といい、予はいや、時代に遅れるとか先んずるとかいうほうがどうなのか…という会話がある。

なぜか粽を食べたくなった。これがこの作品を読んでの一番の感想だ。

 

参考

伊藤左千夫、『野菊の墓』、新潮文庫、2005年